【レビュー】おすすめの中華イヤホン:FIDUE A91 SIRIUS
Benny Tanによって設立されたFIDUE Acousticsは、20年以上自社製品や他社のOEMを請け負ってきた比較的老舗のオーディオメーカーです。FIDUEというブランド名には「Fidelity (原音忠実) 」「Inspiration(天啓)」「Durability(耐久性)」「Uniqueness(独自性)」「Enjoyment(娯楽性)」という5つの理念が込められています。
ビルドクオリティ
A91 SIRIUSは非常に高級感のある内箱に収納されています。
さらにイヤホン携行ケースもアルミニウム製で、この価格帯で他社製品ではなかなかお目にかかれない高級感があり、物欲を刺激します。
イヤホン本体のビルドクオリティも高く、ステンレス合金製で、しっかりとmmcxコネクタをロックしてくれます。ただ、少し大きく重いのが難点です。フィット感が良いので最初はそれほど重さは気になりませんが、長時間リスニングをしていると負担感が出てきてしまいます。このイヤホンがあまり人気が出ているとは思えない理由の一つがその重い装着感にあることはたぶん間違いないところです。
音質
このイヤホンはイメージングとサウンドステージの表現に優れており、高い分離感を味わえるのが特徴です。ボーカルをかなりディテール良く聴かせてくれるのが魅力です。
低域は重低感がそれなりに感じられますが、それほど強調はされません。重低域よりは盛られている中低域付近に上がってきても、自然な味わいで中域以上に悪く絡む感じはありません。
中域ではやや奥に下がった広大な音場と、そこから少し距離を取って手前に分離されてボーカルが配置されています。このイヤホンのボーカル表現は注目に値します。男性ボーカルもくっきりきれいにしかも厚みを持って聞こえてきますが、女性ボーカルはさらに艶やかで幻想的でさえある声色です。明瞭かつスウィートな甘味を存分に感じられる音で、女性ボーカル好きなら一度は聴いて欲しい音です。
高域は滑らかで尖りのない音です。シンバルの尖りを抑えつつ、高域上方では輝きを持っていますが、全体としてはリラックスして聴ける抜けの良い音です。高域は比較的早く抜けていくので、突き抜け感はそれほど強くありません。
全体として見ると中域が非常に魅力的で、メリハリ感と見通しの良さを感じることができ、とくにボーカルに自然と焦点が当たり、精彩も素晴らしく、魅力的に輝いて聞こえます。高域はそのボーカルの聞こえを意識してか、意図的に尖りや抜けを調整している感じがあって、ボーカル好きにはかなり魅力的な機種になるでしょう。
コストパフォーマンス
この機種は生産終了しており、在庫品のみですが、現状では7万円くらいとかなり格安で手に入るのでコスパは良いです。
この機種が発売された当時、ライバルと言われていた機種の一つは、あのCampfire Audio ANDROMEDAでした。実際女性ボーカルの聴き応えはANDROMEDAを凌駕すると評価される可能性が高いです。しかし高域はANDROMEDAのほうがかなり優れた表現力を持っていました。
けれども今現状ANDROMEDAも生産終了になったとはいえ、人気もあって15万円程度もします。それに対し、こちらの機種は半額以下で買えます。コスパは大幅に良いと判断して良いでしょう。ANDROMEDAに匹敵し、場合によっては凌駕する女性ボーカルの表現が半額以下です。
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