【レビュー】おすすめのイヤホン:qdc Neptune

2020年3月15日

qdc neptune
qdc バランスドアーマチュア型イヤホン NEPTUNE QDC-5915

1BAドライバー構成にも関わらず、ワイドレンジで清潔感のある音を奏でるイヤホンとして人気の機種がqdc Neptuneです。qdcは深圳のカスタムIEMメーカーで、軍用にイヤホン機器を納入していることでも知られる、中国を代表するプロ向けオーディオメーカーです。中国ではアーティストの大多数がqdc製を好んで使っています。

ビルドクオリティは高い

写真を眺めただけではamazonで売られているBA機とビルドクオリティに大差ないように思われるかも知れません。しかし、Neptuneはそれらの製品に比べて、バリがなく、結合はスムーズでフェイスプレートに不自然な切れ目がありません。ハウジングの作りもナチュラルで耳当たりの良い滑らかなカーブを描きます。

ただし、qdc製品はmmcxコネクタ結合部が傷つきやすいことが知られています。音質に影響はありませんが、コネクタ付近に割れや欠けはできやすいです。

音質

qdc Neptuneは非常に明るい音場を持つイヤホンですが、通常そのようなイヤホンにありがちな煌めき感や尖りは抑えられており、高域は丁寧にロールオフされて極めて自然に抜けていきます。この独特な幻想感のある高域が最大の魅力です。

1ドライバー機という構成のおかげで音響は上から下までスムーズにつながっています。重低音はセーブされています。このイヤホンからは地鳴りのような鳴動はほとんど聞こえず、中低域の少しだけ濃い音に存在感が感じられる程度でしょう。とくにベースに濃い音を求めるような人にとって、この低域の存在感は明るすぎる印象を与えるかも知れません。

中域は最も魅力的です。自然な色合いで解像度と音場の広い音響を実現しており、透明感を感じることができます。音色はややマイルドでウォームですが、色味は明るく、暗さや元気のない感じは全くありません。男性女性ともにボーカルの表現は忠実で情報量も多く、女性ボーカルに関しては上の方でやや輝きを増して聞こえます。明るさをなめらか方向に最大限生かしたような、透明でつややかな音は清らかで、刺さりとは無縁の大変心地よい音です。

高域は強いピークを持たず、なだらかに上に抜けていきます。輝きや輪郭を強調しないので、緻密感に欠けるところはあり、解像度が高いとは評価されないでしょう。しかし、コントロールはよくきいており、自然で明瞭な音像を持っているので、全体的な印象は驚くほどクリアです。中域との連携もスムーズで、自然な音色がこの音域にも続いており、音域をまたいで伸びる弦楽や透明感に優れたピアノには妙なる調べを感じることができるでしょう。華美ではなく、優雅な音です。

qdc製品全体の特徴とも言えますが、音場はそれほど広くありません。

弦楽やピアノに伴奏された女性ボーカル曲を聴く時、このイヤホンは最高の輝きを発揮するでしょう。低域の不足だけは目立った欠点になり得ますが、中高域は非常に優美で満足度の高い表現に仕上がっています。モニター用としては音は全体的に滑らかすぎるでしょう。完全にリスニング向きです。

コストパフォーマンス

qdc製品は滅多に値下げをしません。したがって価格は大抵の製品でつねに一定ですから、買い時にこだわる必要はありません。中高域の表現はお値段以上であることは間違いありません。ビルドクオリティも高く、アクセサリーとしても充分な満足感を与えてくれます。

より詳しい情報

より詳しい情報については以下のレビューを参考にしてください。

qdc Neptune

9

装着感

8.5/10

高音

9.5/10

中音

10.0/10

低音

7.5/10

コスパ

9.0/10

お気に入り度

9.5/10

Pros

  • 清らかな音質
  • 高いビルドクオリティ

Cons

  • 低域の不足感