【レビュー】おすすめのイヤホン:VECLOS EPT-700
魔法瓶で有名な「THERMOS」が手がけるオーディオブランドが「VECROS」です。真空技術を用いて外界とハウジングエンクロージャー内部の大気圧を分離させ、音に悪影響を与える要素を排除して音の純粋さを目指したというコンセプトで作られています。ただ「VECROS」ブランドは初参入機にしてはお値段が全体的にやや高めなのが気になるところです。
ビルドクオリティ
若干味気ないデザインですがビルドクオリティは高いです。デザインはなんとなく今風でないような気もしますが、高級機ということでターゲット層は年配の方を狙っている雰囲気がありますから、落ち着いたデザインが好まれるという見立てなんでしょう。
仕様など
ドライバーユニット 2way ワイドレンジ・バランスド・アーマチュア
https://www.veclos.jp/veclos/products/inner-ear/ept700500_spec.html
エンクロージャー材質 チタン製
最大入力 50mW
インピーダンス(1kHz) 70 Ω
感度(1kHz) 101dB /mW
再生周波数帯域 10Hz 〜 16kHz
ケーブルタイプ 銀コートOFC 4N 線 ツイスト、着脱式MMCX
ケーブル長 1.2m(Y 字)
プラグ 金メッキ、ストレート型、φ3.5mmステレオミニプラグ
質量(ケーブル含まず) 約4.0g
付属品 ・イヤーピース
シリコン( S、M、L 各2個)
Comply™ 製低反発ポリウレタン(S、M、L 各2個)
・キャリングケース
音質
音の傾向としてはかなりまろやかでナチュラルな聴き心地の良いサウンドを奏でます。反面、これは全体的に手応えが薄い印象をうけるところも否めません。しかし分離感や解像度感はかなりよく、1音1音を聴いてみると丁寧にエッジや質感、厚みが表現されていますが、手応えはあまりない感じです。メロウサウンドの極みといった表現でしょうか。
低域は量感はそこそこ出ているが、深掘り感とディテールで勝負しています。しかし、そのディテールも全体の中での位置取りを意識して、まろやかさを重視しているところがあって、個々の音に焦点を絞りすぎないようになっているため、ディテールは良いが意識を集中させるような感じはない。そのため第一印象では低域は地味に感じるはずだが、聴き込むとドラムのボディの厚みとベースの重低感はしっかりしています。
低域から中域へのつながりも自然でなめらかです。ここでも全体的に角が取れた感じなので、一聴すると地味ですが、まろやかで深い味わいを見せてくれます。とくに女性ボーカルはつややかさを出しつつも、明るくなりすぎないしっとり感のある音で、JAZZやバラードで深みのある表情を見せてくれます。音味としてはコクのある濃厚感で、後から深く味が沁みてくる感じがあり、第一印象はおとなしく手がかりに乏しく思えるのは相変わらずで、少しリスナーに聴き込みと耳慣れを要求するところはあります。
高域は自然に伸びやかに、しかし伸びも強調しすぎずに中域の濃厚感に配慮して、晴れやかさを強調しすぎない仕上がりです。この品の良い高域のおかげで中域のメロウ感が丁寧に維持されて、コクが薄まらずに味わえるようになっています。
音楽ジャンルとしてはJAZZ、室内楽が特におすすめです。シャンソン、バラードなども良いでしょう。アコースティック系の楽器はどれも豊かですが、個人的に管楽は木管金管問わず、とくに素晴らしいです。
コストパフォーマンス
率直に言って、ポータブルオーディオのメイン購買層を考えると、コスパはあまりよくありません。5万円を越えてしまう価格のイヤホンの中では少し難解な部類のイヤホンになり、デジタル系の流行曲を聴くには角が取れておとなしすぎる音を鳴らします。逆にクラシックやJAZZ、シャンソンなどでメロウ感をとことん感じて味わいたい人には、この価格でこの音質はお買い得です。得意な曲調を考えると、やはり年配層を意識しているイヤホンと言えます。
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