【レビュー】おすすめのイヤホン:Oriolus Finschi

2019年5月30日

Oriolus Finschi
Oriolus Finschi -フィンシ- 1ダイナック+1BA ハイブリッドドライバー イヤホン

日本のイヤホンメーカーOriolusがエントリークラス向けにリリースしたイヤホンがFinschiです。まだまだ知名度が高くないOriolusですが、すでにその品質の高さは欧米でも知られるようになってきており、とくにこのFinschiは高い人気を誇っていて、Oriolus屈指の傑作機と言われています。

良好な装着感

Finschiの外観は丸みを帯びており、一見するとカスタムIEMとしては大きめで収まりが悪いように思えるかも知れません。しかし実際に装着してみると驚くほど自然に耳に収まることが分かります。付属品には様々な材質と形状のイヤーチップが含まれており、好みの装着感と音質を追求することができます。

音質

Oriolusブランドの中でFinschiの位置づけを音質的に確認してみると、Forsteniに近いということができると思います。全体的に中立的で万能に近い音質を持っている機種です。

低域はハイブリッド独特のソフトな表現で量感に優れていますが、主張の強くない優しい音響を実現しています。必ずしも深い位置まで音が出ているわけではありませんが、厚みは充分にあり、中高域を丁寧に支えています。僕の個人的な好みを言えば、もう少し中低域を厚くしてウォームな方向に持っていってもよいと思いますが、好みの問題でしょう。キックは強くなく、優しい耳当たりで、音像は明確ですがBA系のカスタムIEMの低域になれていると、ややおとなしめに聞こえるかも知れません。

中域に移ると途端に開放的で透明感のある音場が広がっていることに気づきます。中域の音質は全体としてクリーンではありますが、華やかさは抑えられており、カスタムIEMの精密で輪郭を強調する音に比べると、個性は強くありません。しかし、チューニングは丁寧で音像に尖りや緻密感はあまり感じないにも拘わらず、音像は明確に感じられ、非常に中立的な音を広めの音場で楽しむことができます。Finschiの魅力の一つが、この中立的で無個性的な、それゆえに音楽そのものの音色を素直に感じさせる透明感にあることは間違いないでしょう。

高域はBAドライバー機としては非常に素直に、輝きを抑えた尖りのない音響で上に伸びています。中域からまっすぐに上に抜ける高い天井を感じることができ、したがって、中高域は明るめですが、エッジは強調されずにさわやかで自然です。

低域のウォームで少しおとなしい感じと高域のさわやかな印象は性格的に連続していて、高い解像度がありつつも、穏やかな聴き心地を全体的に維持しています。高域の分離感はとくに素晴らしく、頭一つ抜けた音を感じることができます。Finschiの魅力はどちらかといえば、中域の広大でニュートラルな表現とこの高域のさわやかで自然な色彩の伸びの良さにあると言えます。

コストパフォーマンス

自然な色合いの音を高度に楽しめるこのイヤホンは2万円台前半で手に入ります。派手さはないのに病みつきになるハイレベルな音質の対価としては、かなり安すぎる値段設定に思えるかも知れません。同価格帯のROSE BR5 mk2のような一聴した印象の派手さはありませんが、聞き込むほどに、その自然な音色の持つ聴き心地の良さを感じることができます。

ただし、解像度は実際には充分ですが、高域に派手さがないので解像度「感」は高くないように思われる可能性はあります。

より詳しい情報

より詳しい情報については以下のレビューを参考にしてください。

Oriolus Finschi

9.4

装着感

9.0/10

高音

9.5/10

中音

9.5/10

低音

8.5/10

コスパ

10.0/10

お気に入り度

10.0/10

Pros

  • 良好な装着感
  • 聴き心地の良い音質
  • コスパが良好

Cons

  • 知名度が低い
  • 人によって解像度を感じにくい