【レビュー】おすすめのイヤホン:FiiO FH7
FH7はFiiOの新しいフラッグシップイヤホンです。4基のバランスドアーマチュアドライバーと1基のダイナミックドライバーを備えたハイブリッドモデルで、さらにノズル交換により3種類の音質変更が可能です。
ビルドクオリティ
FH5と同じく、Waveデザインのシェルを採用しています。mmcxコネクタは絶妙な位置にあり、フィット感を高めています。シェルプレートは手磨きで仕上げられており、滑らかで優雅なデザインになっています。
ノズルフィルター交換はネジ式です。懸念があるとすればこの部分で、ネジ式は長時間装着で緩んでくる可能性があります。試用している範囲では緩みは出ず、問題ないとは思いますが、構造的な懸念があるかもしれないということだけは表明しておきたいと思います。
FiiOは音質におけるイヤーピースの重要性を真に理解しているメーカーの一つです。付属品には人気が高いSpinfitのイヤーピースとダブルフランジタイプが加わり、6種類15ペアものイヤーピースが付属し、好みの装着感を究めることが出来ます。またイヤホンケースも高級感のあるものに変わりました。
仕様など
製品の仕様
https://www.fiio.jp/products/fh7/
ドライバー構成 4BA+1DD
再生周波数帯域 5Hz ~ 40kHz
能率 111 dB/mW
インピーダンス 16Ω
付属ケーブルの長さ 1.2 m
重量 8.15 g (ケーブル含まず)
本体色 ブラック
ケーブル着脱 対応 (standard MMCX connector)
ケーブル 高純度単結晶銅リッツ・ワイヤー
プラグ L字型プラグ
音質
標準のノズルである黒の音質をレビューし、それぞれのノズルの違いについては後半で説明します。さらに音響構造的に特筆すべきはベリリウムコーティングが施されていることです。ベリリウムを使った振動板は一般的に音伝導率がよくなり、より繊細な表現が可能になると言われています。
FH7はFH5より低域で大きな改善が見られます。FH5の重低音が少し響きすぎているウーファー感があり、イヤーピースによってはそれが強すぎる傾向がありました。FH5の低域はそれでも十分にレベルが高いと言えるものでしたが、率直に言うとやや下方向に寄りすぎた音ではありました。
個人的にはFH5の低域も嫌いではなく、むしろ相対的に高く評価していたことはFH5のレビューを見れば明らかだと思われますが、FH7の低域の方が理想的です。コントロール、レスポンス、ディテールの3点で明らかにFH5より自然な仕上がりになっており、より深くまで音が到達しています。FH5に比べて音が増えたわけではありませんが、より詳細にスピード感も増してレイヤーも増し、音がより描き分けられ、キレとディテール感の両方で大きな改善が感じられます。
中域はFH5よりクリアで前面に出てきて、中域ではFH5に比べて格段に豊かな広がりが見られるようになりました。FH5に比べてFH7はよりフラットでボーカルフォーカスも増していますが、同様に楽器音の音色と質感もより感じられるようになっています。そのせいか解像度と透明度の両方でFH5より優れて感じられ、ボーカルとインストゥルメンツの両方に詳細な精彩があり、より原音忠実的なピュアサウンドを感じることができます。
中域は存在感がありますが、それによって音場が暗くももっさりもしていません。中域充実ではありますが、かまぼこ型の音楽の悪いところはあまり感じられないでしょう。
高域はドライバーが増えた分だけFH5より詳細で明るいです。FH5に比べて高域は伸張されていますが、FH5のしなやかな音とは異なり、明確な煌めき感を持っています。FH5の絹ごしでマイルドな高域に比べると、ディテール感が強く、ややくっきりしたキャラクターを持っていると感じるでしょう。それでもシャープネスは適度に抑えられていて、耳に疲労感を出す感じではありません。
サウンドステージは決して広大ではなく、幅も奥行きも価格帯では標準的なレベルです。それでも開放的でほどよく音が広がるので窮屈さはなく、密度のバランスが良いと感じるでしょう。
ノズルフィルター交換
レファレンスは黒フィルターです。他に赤と緑のフィルターが用意されています。
赤フィルターを使うと低域に暖かみが増し、音は少し濃くなり、ややマイルドな感じになります。FH5の音が好きならこのフィルターを使えばだいぶ近づけることが出来るでしょう。
綠フィルターは高域を鮮明にし、空気感を増します。シンバルの精彩が増し、弦楽がより高くまで少しヒステリックに伸びるようになります。ダイナミズムが少し増して音楽を楽しむことが出来るでしょう。
コストパフォーマンス
FH7はまさに音のおもちゃ箱です。決して安いおもちゃではありませんが、ノズルやイヤーチップを交換して音をとことん楽しみたい人には魅力的な商品であることは間違いありません。FH5のファンからしても確実な進化が見られるので、ステップアップ先としては悪くありません。赤フィルターでFH5風の音が楽しめます。6万円台の機種の中では完成度と遊び心は高めです。
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