【レビュー】おすすめのイヤホン:Westone B50
WestoneはWシリーズを2019年に一新し、W50は新たに低域モデルのBシリーズに含まれるWestone B50として生まれ変わりました。元々Wシリーズの中でも定評があったW50の低域がさらにブラッシュアップされたのです。
Bシリーズについて
Bシリーズの開発経緯については以下のインタビュー記事に詳しく書かれています。
クリス氏: まず一つには、Wシリーズの各モデル間が似通ってきていたという事情があります。たとえばW30とW40の違いについて、明確化するのが難しくなってきたので、しっかりと差別化を図ろうと考えたのです。
それから、現在オーディオファイルがプロ用に作ったイヤモニを買う傾向にあって、その理由の一つに「強めの低域特性」が好まれているということに気が付きました。そこでWシリーズでもっとも低域特性が強めだった「W30」と「W50」に着目したのです。
https://www.phileweb.com/interview/article/201904/08/651_2.html
仕様など
低音好きのために大きな低域ドライバを搭載 驚くほど明瞭なサウンドを楽しめます
amazonの商品ページ
入力感度:118dB SPL @1mW
周波数:10Hz-20000kHz
インピーダンス:25Ω
パッシブノイズ減衰:25dB
ケーブル:High-Definitionシルバー、Bluetooth
同梱品:High-Definitionシルバーケーブル、Bluetoothケーブル、各種イヤーチップ、付け替え用フェイスプレート、ジップケース(大)
ワイヤレスケーブルが標準で付属
さて、Westone W50からWestone B50に生まれ変わって大きく変化したのは音質だけではありません。新たに純正のBluetoothケーブルが付属し、ワイヤレス化が可能となりました。
しかしこの点は賛否を分けています。Westoneの純正ワイヤレスケーブルは決して品質が悪いわけでなく、よくできていますが、相応に値段が高いです。今回Westone製品に標準付属されることになって、当然のことながらパッケージ価格は大きく上昇しました。W50は比較的早期に生産終了していたとはいえ、最安45000円程度で売られていた時期もあり、平均して60000円台の値段で推移していたので、80000円ちょうどくらいの値段設定はやや高く見えてしまいます。
Westoneのワイヤレスケーブルがほしい人には、それでもお得な値段に見えるのかも知れませんが、手持ちのワイヤレスケーブルや廉価なものを使いたい人、そもそもワイヤレスケーブルがいらない人には余計な出費を強いるパッケージになっています。
ビルドクオリティ
フィット感でWestone製品に勝るフィット感を提供してくれるイヤホンメーカーは数えるほどしかありません。
装着感に関する限り、Westoneは王者と言っても良いでしょう。Empire EarsやCampfire Audioの目立つデザインに比べて、小さく耳に収まる主張の少ないデザインがWestoneの愛され続けている理由です。とくに女性の目には、その自然な付け心地と目立ちすぎないバランスはとても好ましいものに映るはずです。
そしてアクティブノイズキャンセリングを備えていないにも関わらず、遮音性は非常に良好です。
音質
明らかにB50の低域は量感が強化されましたが、全体としてはWestoneらしい暖かみのある解像度を提供しています。
低域は太くて暖かな中低域を持っていますが、重低音の深掘りも正確に聞こえます。存在感は明らかに増しましたが、Westoneらしい温度感とバランスを維持しています。色味はWシリーズより格段に濃くなりましたが、聞こえてくる音そのもののキャラクターはW40に似ています。パンチの利かせ方も明確ながら暖かみがあり、重低音も熱気を帯びて聞こえてくるでしょう。見通しは良いですが、透明でニュートラルではありません。暖かです。
低域が目に見えて濃くなったにも拘わらず、中域はW40と同等のディテールを維持しています。Westoneは長年驚くべき詳細なディテール感を持った中域で多くのファンを惹きつけてきましたが、B50も間違いなく期待を裏切らない、情報量の多い中域を持っています。中域には相変わらず豊かなボディがあり、スネアドラムやパーカッションに堅牢なダイナミズムを感じさせるとともに、しっかりした太い音でパワフルに聴かせます。ギターをはじめ楽器にはリアルな重みがあり、低域の重力が増したことで、重厚感はさらに磨きがかかりました。分離感とディテールを両立させたボーカル表現も生きています。
高域はやや明るく、女性ボーカルに官能的な色彩をわずかに加えるいつものWestoneサウンドですが、以前のW50や新しいW40に比べて、落ち着いています。どちらかというと2019年にリファインされる前のW40に近いマイルド感があります。明るさと解像度を幾分セーブした形ではありますが、IEMとして通用するほどには詳細さを残しています。とはいえ、その印象はどちらかといえばリスニングライクな、聞き疲れしない曖昧さが滲んでいます。この音域に詳細なディテールを求めるならば、Wシリーズを買うべきです。B50はやや高い高域を強調して空気感を出しているところはあり、シンバルの風味はわかりやすいように調整されていますが、基本的には手応えを丸くしていて、あまり詳細な印象はありません。
WestoneのWシリーズのサウンドステージが持つニュアンスとリアリズムはよく維持されています。低域の張り出しによって、ボーカルは普段のWestone製品より少し奥まって配置される印象を受けますが、奥行き感が充分にあるので狭い印象は受けないでしょう。しかし音数が多い複雑な曲ではやや密度が高まりやすい傾向があり、空間全体が押し込められた印象を受けることがあります。
コストパフォーマンス
Westone B50はB30より明らかに濃密で濃い音を出し、中高域もよりディテールが高まっています。しかし、付属品が増えたために、パッケージ全体の価格が上がっており、決してコスパが高い機種ではありません。
B30のレビューでも述べましたが、付属品を減らした廉価なパッケージを提供すべきように思われます。
より詳しい情報
より詳しい情報については以下のレビューを参考にして下さい。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません