【レビュー】おすすめの中華イヤホン:NICEHCK M6
ドライバー数だけ見ると価格帯ではずば抜けたスペックを感じることの多い、NICEHCKのイヤホンですが、このイヤホンも1万円台で2基のダイナミックドライバーと4基のバランスドアーマチュアドライバーを搭載しているという、信じられないスペックを持っています。少なくとも見た目のコスパは良さそうに見えます。
ノズル機能
この機種はさらに3種類のノズルが付属しており、それを付け替えることで音色を調整することができます。1万円台でここまで自由なイヤホンは他に類例がありません。もちろん音質が良いかどうかは別物ですから、その真価を慎重に確かめる必要はあります。
残念ながらこのノズル機能はまだまだ不十分です。ネジ止め式ですが、固定が緩く、使っているうちに浮き上がってくるところがあります。
そして、このノズルの音質調整機能はほとんど効果が無いので、3つのノズルをわざわざ付属する意味があったのかさえ疑わしいです。デフォルトの音質を大きく変更することがないので、デフォルトの音が気に入らなければノズルを替えても嫌いなままの音が流れてきます。
シルバーフィルターは高域を強化しますが、尖りが強くなるために音楽全体を攻撃的にします。
ゴールドフィルターは低域強調を謳っていますが、実際には高域をカットしているというほうがふさわしいくらいです。少なからぬ人数のレビュアーがこのフィルターを気に入っているようですが、それは高域がマイルドになるので全体的なバランスがよくなるためかもしれません。しかし、イコライザーで高域をいじったほうが効果的です。
ハウジングの色と同じフィルターが標準です。
音質
このイヤホンの音質を特徴付けているのは解像度の高い高域と、やや下に太いですが、それなりに広い音場を持つ中域の自然な感じでしょうか。低域は2基ものダイナミックドライバーを詰め込んでいるにも関わらず、不明瞭なところがあります。ウォームで厚みがある音ですが、アタックは早いのに減衰のスピード感は鈍く、メリハリに欠けます。人によってはイライラするかもしれません。全体的に中高域のキャラクターに低域は圧倒されており、量感だけでバランスを取っているかのようです。基本的に頭でっかちです。
高域の精彩の高さはヴァイオリンを聴くことで充分に確認できます。非常に生々しい緻密感のある細やかな襞を感じさせる表現で、まるで弦に吸い寄せられているかのような錯覚を覚えるほどです。輝きは相対的に抑えられており、つややかな感じが強いまろやかで優雅な音です。この高域の表現力は真に評価に値します。
中域は低域に影響されやすく、自然で良好なプレゼンスを持っているにも関わらず、無作法な低域に踏み荒らされやすい領域になっています。高域よりは中立的で没個性的に思えるかも知れませんが、音場はそれなりに広く、悪くありません。個人的に低域さえなければ、より高い評価を受けたかも知れないと思います。
このイヤホンは低域音がサウンドを台無しにしている印象を受けます。調整は明らかに足りておらず、素性の良いところはあるのに無調整で量感だけバランスを取ったかのような雑な音作りになっています。したがって、イコライジングを丁寧にかける上級リスナー向けの製品で、初心者向きとはとても言えません。当然のことながら、DTMのモニター用としても基本的には不適切な機種です。
コストパフォーマンス
一見コストパフォーマンスは良さそうに見えますが、実際のところバランスが悪く、聴き心地も良くない機種です。ビルドクオリティだけは高いですが、不必要なノズル機能は外すべきでした。その分低域のチューニングをもう少し丁寧に行っていれば、もしかすると素晴らしい機種になっていたかも知れません。高域だけは高く評価できます。
より詳しい情報
より詳しい情報については以下のレビューを参考にしてください。
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